映画『よこがお』に関して ープロパガンダから遠く離れてー


映画『よこがお』に関して
ープロパガンダから遠く離れてー
先日観た映画数本を連続してまとめておきたいと思います。
まずは、映画「よこがお」から。
この映画は、演技指導をしている友人のシーラさん(白峰優梨子さん)からのご紹介で観ることになったのですが、これが素晴らしいサスペンス・ミステリーでした。
製作にフランスが深く関わることで生じたのかもしれませんが、既存の日本映画にはない現代の日本人の生活を観察する視点が随所に見られ、惹きつけられました。
物語は介護職に従事する中年女性が、自分の甥の起こした事件のせいで、本人が無実どころか全く関係がないにもかかわらず、周囲から徐々に真綿で首を締め付けられるように、加害者のような扱いを受けていく、というまさに現実的不条理を描くものでした。
ただし、この物語の興味深い点は、過去と現在が同時進行しており、その構成に気がつかなければなかなか解りづらいところかもしれませんが、「彼女は如何に現実に対し復讐したか」が語られていたのでした。
監督がインタビューで語っておられましたが、最近の劇場商業映画作品の多くに政府広報と大衆に対する価値観の宣伝と政治的教育及び政策に対する啓蒙を狙ったプロパガンダの要素が強まっています。
それに対し、確かにこの作品はプロパガンダから遠く離れた作品です。なぜなら、主人公を破滅させるマスメディアの扱い方も、憎々しくはあるけれど、「だからマスコミは信じられない」的な紋切り型の単純なメディア批判は微塵もなく、ひたすら不条理な状況に陥った女性に寄り添い彼女の視点から世界を見ようとしているのですから。
こうした登場人物の視点から世界を見る方法こそが演劇やドラマ、映画に課せられた機能であり、物語を視覚的、聴覚的に追体験する意味なのだと思うのです。
信じていたものに裏切られたり、ほんのちょっとした誤解や、気を許した故の油断、一瞬の選択ミス、こういった些末だが未来の方向を決めていく瞬間を様々な角度からこの作品は僕らに見せてくれる。その意味では、人間観察から始まって、社会学的な視点まで至り、最後には破滅の意味さえ疑わしくなる、生のふてぶてしさまで感じさせる見事なストーリーテリングでした。
「よこがお」とは、人が人を見るとき、その反面しか見ていないと言う意味なのでしょうね。その意味では、画面を通じて反対側にあるその「よこがお」を見せてもらえるのは、現実ではなかなか無理ですが、それこそ映画や演劇、ドラマの力なのだと思います。
主人公があれほどまでに社会的に追い込まれて行く様は、悪く言えばもっとヨーロッパ的な薄ぼんやりしたイメージ重視の映像を予測していた僕には衝撃的なほど具体的であり、この映画が人間の不条理を観念的に机上の論理として捉えているのではなく不条理こそリアル(現実)であるという実感からきているのだな、とあらためて思いました。
複雑な構成は、この心理ミステリーには不可欠な要素だったんですね。丹念に物語を追うことで、主人公の彼女の心理に少しだけ追いつけるのでしょう。
善意の主人公がル・サンチマン(恨み)を抱え復讐に転じるあたりの凄みも演技と演出の良さを感じました。演技で先を予測するのは勿論御法度ですが、登場人物として今を最大限に生きている俳優たちの気配の凄みと生き方に強く惹き込まれた稀有な作品だと僕は思う。
こんな作品を日本の映画製作者たちも投資家もどんどん生み出してくれたら、きっと世界は変わってくるのではないかな。原作に頼るのでもなく、先行作品に寄り掛かるでもなく、今やるべきこと、今語るべきことを、エンターテインメントとして語ることの大切さをこの作品で僕は確信しました。
多くの方々にこれからもぜひご覧いただきたい一本です。
2015年最新公演情報!!
2015年10月23日〜25日まで、ウッディシアター中目黒にて、空中スケッチ本公演が開催されます!!
昨年、朗読劇で好評を博した「空にはきらきら金の星 ー落雀の候ー」が改訂完全版の舞台劇として帰ってきます!!
大東亜戦争末期、中国大陸に置き去りにされた女たちの「生」の物語です。
ぜひこの機会に、ご覧頂きたいと思います。
本日より、稽古が開始されます。
稽古の様子など、アップしていこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
■Drama Project 空中スケッチ 第3回公演■
『空にはきらきら金の星 ー落雀の候ー』
脚本・演出 上野火山
2015.10.23 (⾦)~ 10.25(⽇)
●開演時間(※開場は開演時間の30分前)
10⽉23⽇(⾦) 19:00
10⽉24⽇(⼟) 14:00/19:00
10⽉25⽇(⽇) 13:00/17:00
▲お時間をお間違えのないようにお願い致します!
■チケット
当⽇ 3.800 円 / 前売 3.500 円
ご予約 kuchu.sketch@gmail.com
<Drama Project 空中スケッチ事務局>
《スタッフ & 出演者》
■照明デザイン
久保良明
エヂソンライトハウス
■照明オペレーター
岡野昌代
PICORET(ピコレ)
■音響
清正高章
■舞台監督
大川 裕
■宣伝広告デザイン
空中スケッチ事務局
■出演者
須藤どらま
クリスタル真希
成澤優子
近藤沙弥佳
金綱りか
萬歳光恵
眞鍋昌照
一見直樹
■協力
Toshizo プロデュース
オーガニックシアター
アクターズ・クリニック
V-net教育相談事務所
法政大学 文学部 日本文学科
朗読劇公演☆告知!
ぜひ、みなさんにご覧頂きたい小さな小さな舞台です。こんな舞台を大切にすることが一歩なんだよ。
元々は二時間半の大きな芝居ですが、今回は45分ほどの朗読劇に書き直しました。
戦争で捨てられた同胞を、もう一度思い出したいと思います。
お時間がございましたら、ぜひ足をお運び頂けますようお願い申し上げます。
劇場でお会い致しましょう!!
■第10回 平和を祈る演劇祭■
朗読劇『空にはきらきら金の星 ~落雀の候~』
作・演出 上野火山
【日程】
08/22(金) 17:00~17:45
08/23(土) 15:15~16:00
【入場料】
大人:1,000円
子供:500円
【会場】
保谷こもれびホール(小ホール)
東京都西東京市中町1-5-1 保谷駅より徒歩15分
▲詳しくは《保谷こもれびホールオフィシャルサイト》をご覧下さい
【チケット予約】
下記のメールアドレスまで、《氏名、チケット枚数、電話番号》をお書きの上、メールでお申し込み下さい。
当日、受付にて、氏名をお伝え頂きチケットをお受け取り下さい。お支払いは受付でお願い致します。
kuchu.sketch@gmail.com
※チケットは二日間有効で、チケットをお持ち頂ければ入退場自由です。
どの劇も一枚のチケットで観ることが出来ます。
《演劇祭全体のタイムテーブル》
08/22(金)
●この子たちの夏 15:30~16:50
●空にはきらきら金の星 17:00~17:45
●マイス 17:55~19:05
●らっきょう 19:45~20:00
08/23(土)
●らっきょう 13:00~13:45
●マイス 13:55~15:05
●空にはきらきら金の星 15:15~16:00
●この子たちの夏 16:10~17:30
演劇祭・進捗状況
僕の戯曲「 空にはきらきら金の星」を朗読劇として上演します。
8月22日〜23日
「第10回 平和を祈る演劇祭」
会場:保谷こもれびホール・少ホール
8月22日(金) 17:00〜17:45(予定)
8月23日(土) 15:15〜16:00(予定)
現在、戯曲の「朗読劇版」への改訂作業終了しました!!
キャスティングが進行中です☆
素敵な俳優たちが名乗りを上げてくれて、力強い舞台になりそうです。
この戦争したくてたまらない連中が跋扈する時代。
もう一度冷静に戦争について考えてみたい。本当に「戦争」なんてものを僕らは望んでいるのか。戦争をしないで済む努力をするのが政治権力ではなかったのか。
この小さな芝居が、ご覧になる人々の心に、もう一度戦争の「無意味」を喚起できますように。有意味な戦争などどこにもないのだから。
上野火山
八月の公演に関して
僕の戯曲「 空にはきらきら金の星」を朗読劇として上演します。
8月22日〜23日
「第10回 平和を祈る演劇祭」
会場:保谷こもれびホール・少ホール
現在、戯曲の改訂作業中です。
詳しくは、もう少ししてからお知らせします☆
上野火山
桜
桜が咲きました!
やっと春が来たのかな?
まだまだ朝晩冷えますが、やっぱりピンクの花びらは春そのものですね。
ホームページが、新しくなった日に咲いてくれるとは、嬉しい☆
今夜、ブログの方にも別の桜の写真をアップしようと思います。
本日よりホームページを完全移行します
やっと、こちらのサイトにホームページを移動できるようになりました。
このサイトでは、主に「空中スケッチ」の舞台の案内、及び舞台・公演等に関する情報や稽古風景・ドラマエッセイ等をアップしたいと思います。
アメブロに掲載していました空中スケッチブログの移動と考えていただければ幸いです。
Photo by Skyline April Sky!