『近くて遠い国から』

先日、二年前に大学で教えた中国の留学生の一人からメッセージを頂いた。
ほんの短いメッセージの中で、彼女が日本を離れ故国に帰り社会人として出発したことがわかった。
中国は遠くて近い国である。
全く違う政治体制と伝統文化。それにもかかわらず、日本に来て学び深く考え、そしてまたメッセージをくれる。
僕が長いこと放ったらかしにしていたブログ等を今整理し、統合しようとしているのも、もとを正せば、中国に帰った彼女のメッセージに力づけられたからに他ならない。
「今は中国です。中国で就職しました。でも、中国に帰っても時々先生のブログを見ます。
先生のブログからエネルギーがもらえます。私もがんばります。そして楽しみます」
嗚呼、なんと美しい言葉だろう。
エネルギーをもらうのはこちらの方だ。魯迅にとっての藤野先生のようにはなれないけれど、君が熱心にノートを取りながら講義を聞いてくれていた姿を僕は忘れません。
日本には日本の問題があり、中国には中国の問題がある。それはマスメディアでは語られない様々な要素であり、それらを無視して批判も合意も生まれるわけがない。
にもかかわらず、メディアは新聞やテレビのみならず、ネット上においても薄っぺらな国家批判ばかりがまかり通っている。
おそらく、僕らが欲しいのは一般論ではない。個人の出会いの中で育まれる個人的な共感と理解が欲しいのだと思う。国家間においては、政治的解決は確かに必要だし、それがなければ戦争を防ぐ手立てもなくなるが、それにしても、大きな解決のために小さな悲しみや喜びや生活を無視するのは、歴史の必然であっても、許しがたい行為だと思う。だが、これまでも、そしてこれからも、そんなことが世界中で多く起こり、続いていくのだろう。
だから、こんな小さなメッセージが本当に嬉しかった。
僕は君たち中国からの留学生たちから中国の映画シーンの知られざる問題点に気付かされたし、韓国からの留学生からは光州事件以降の韓国内の決して口外されない問題点や様々な国内の現状にも気付かされた。
先生とは、先に生まれ、教え子から学ぶ者のことだ。
その点で僕は本当に幸運に恵まれていると思う。日々僕は教えはするが、逆に彼らから学ぶことばかり。少しは成長できているかな。
ありがとう!謝謝!
もし、このブログも見ていくれていたら、僕は嬉しい。中国に帰った君も、韓国に帰った君も元気で頑張ってくれることを心から祈ってる。
僕もますますがんばるぜ!!
実は、昨日はバンドのLIVEでした!来週もLIVE☆
僕も楽しむよ、この人生を!!!!!
P.S.
上の写真は、中学生の教え子、米島虎太朗君提供によるパノラマ写真。
西荻窪上空の碧天。素晴らしい!!感謝☆

LIVE演奏の後、客席にて☆2019年6月29日